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広東語の難易度
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以前のコラムで広東語を勉強してみよう、と書いたことがある。 昨年ある時期、広東語の発音を学習するコースに参加した。その後残念ながら、忙しさを理由に続きのコースには参加していないのだが、そのコースで学習したおかげと会社で毎日のように広東語の会話を耳にしているため、少しずつではあるが、耳が広東語の響きに慣れてきた。とは言っても会話には程遠い、片言の単語で、日常の簡単な会話をする程度。 ところで、この広東語、なぜこんなに理解が困難なのか? 今まで広東語を流暢に話す日本人には、先に書いた広東語のコースの先生以外に会ったことがない。日本人には余程適していない言語なのだろうか? 世界的にみてマイナー言語であるとか、学習のためのテキストが少ない、などの理由は多々あるが、私自身は広東語の響きというか、音に秘密があると分析する。 中国語を多少勉強したことがある人なら、中国語には4声という、それぞれ異なる声調(イントネーション)があり、仮に同じ音を持つ単語であっても、その声調を間違えると違う意味になってしまう、というのはよく知っていると思う。ちなみに広東語のそれは6声、正確に言うと最大9声まであるらしい。というのも日本語でもそうだが、正確な広東語を話せる人が少なくなってきており、自然と声調も少なくなっているという背景がある。 さて、この声調、日本語の『橋』と『箸』の比ではない。なぜなら日本人はこれら二つの音が似ており、外国人であれば間違える可能性のあるものと認識しているはず。しかし、香港人にとって、音が似ていて声調の異なる単語は、全く異なる単語として認識しているのである。 例えば『日本』、と『一般』は広東語では両方とも【ヤップン】と発音する。但し、『日本』は【ヤッ】の部分を低く発音し、『一般』のそれは、高音で発音する。 日本人から、するとこの二つの発音は極めて似ており、耳が慣れないとどちらであるか判らない。しかし、以前私が香港人の同僚に、この二つの単語を例にとり、音が似ていて区別ができないと言ったところ、どうも要領を得ておらず、全く違う音だと言われてしまった。音での区別より、声調での区別を優先しているようだ。 このように、広東語には似た音で声調の異なる言葉はいくらでもある。声調とういう概念を持たない日本人は、まずここで躓く。 第二に、前述した発音の勉強クラスに参加して知ったことだが、広東語の発音には、声調のほかに、【ショート】と【ロング】という二つの発音が存在する。 これは、音を伸ばすか、短く発音するかで意味が変わる。 あまりいい例がないのだが、先日香港人と“アパートの部屋”について話していたときのこと。 “アパートの部屋”は広東語だと【ダーンワイ】(漢字を忘れました)と発音する。しかし【ダーン】の部分を【ダン】と短くしてしまうと他の意味になり、わかってくれない。 日本人的感覚からすると、今までアパートの事を話していたのだから、仮に【ダンワイ】という間違った発音をしても、音が似ているのだから、それは【ダーンワイ】だと指摘してくれてもいいのでは?と思ってしまう。しかし香港人はそんなに優しくない。彼らは私が【ダンワイ】といった時点で【アー?】と一言、「何言ってるの?」とくる。 さらに、広東語には喋る速度(リズム)にも秘密があった。 以前から不思議に思っていたのだが、香港人はこちらが日本人(外国人)と判ってもゆっくり喋ろうとしない。 またまた日本人的感覚で恐縮なのだが、日本で外国人が一生懸命日本語を喋っていたら、聞き手である日本人は、できるだけゆっくり喋ってあげたりするのだが、香港人にそれを期待してはいけない。彼らは相手が何人であろうと、普段と変わりない速度で喋り続ける。 これは、香港人の気性(相手に気を使わない)から来ていると考えていたのだが、最近になって私の妻が、香港人はゆっくり喋れないのではないかと言い出した。 正確に言うと、ゆっくりした広東語を喋れないということなのだが、これは見事に的中していた。 日本語を流暢に話す香港人から聞いたところ、当たり前だが香港人もゆっくりとした広東語を発音することはできる。しかし、ゆっくり発音してしまうと非常に違和感を感じてしまい、通常の速度になってしまうとのことだ。つまり広東語を学習しているビギナーがゆっくり喋ってしまうと、仮に声調や発音が完璧でも、香港人達にとっては、とても違和感のある言葉となってしまうのである。喋るスピード(リズム)も広東語の重要な要因だったのだ。 文法的には、時制の変化はないし、男性/女性名詞などなく、決して難しいものではない。但し、今まで書いてきたとおり、広東語は声調、発生の長さ、スピード(リズム)という日本語にはない3つを要素を克服しないと通じない言語、これはもう異次元の言葉だ。(了) |
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